道具箱
 

 
「つくり手のぬくもりをそのままに」
   
 
●木と針金・紙を基礎に胡粉で肉づけされる手足は京人形ならでわの本格的なつくりもの。
●左右一対にして作られた手は胴組み・着付けの際に切りはなされ表情をあたえられる。
   
  ●京人形にふさわしく西陣織に京染。これらを織る機(はた)は人が着るものとは違った機。人形のいきを知った専門の職人が専門の機で織る。人間とは異にした神聖な世界とされている。
 
   
  ●胡粉で化粧された頭(かしら)に書毛筆が走る。眉は面相の切先きで一本一本描きこまれていく。筆の寿命は短い。へたる寸前の筆が一番使いよい。  
  ●いぐさやわらの束ねられたつとに頭(かしら)を差しこまれて髪付師へ廻され手が替る。
  ●絹糸で結われた髪の艶やかさは時間を感じさせない。
   
●職人の道具箱は子供の引き出しとおなじ。竹箸一本でも宝もの、小さいクリップから接着剤・首型・針金ニッパにエトセトラ。よそから見たら我楽多箱。
●頭(かしら)のかわりに首型を使って着付けていく。さまざまの形のへらを自在に動かし顔のない人形に表情をあたえる。
●無から七・八十工程をたどって、やっと人形としての機能が生まれる。
   
  ●檜扇・太刀・矢・膳・楽器などは実際とおなじように金具や木が使われ加工される。それらを細工する道具類も雛とおなじで、すべてが小さい。職人が小人(こびと)の世界へまぎれこんだガリバアのよう。  
     
 
   
  ●何拾分の一かに圧縮されたいぐさやわらの胴は、ふっくらとした着付けに最適な昔からの素材。  
 
●京人形の肌は透きとおった白に胡粉のおしろい。いちじるしい生活環境の変化に耐えうる素材にもその心は伝承されている。